疲れてるのに眠れない!そんな時にいい習慣
1日の生活は、起きている時間と寝ている時間が一体となったリズムで動いています。朝、昼、晩、そして寝る1時間前など、時間帯ごとの快眠のための習慣づくりが大切になります。
自分にとっての「最適睡眠時間」と「睡眠リズム」を知れば、誰でも必ず快眠を得ることができるのです。
「充分な睡眠時間は何時間なのか?」
この疑問に対して、「8時間が理想」「8時間は長すぎる」「3~4時間くらいの短時間睡眠でも大丈夫」など、いろいろな意見があります。
正解は、「最適な睡眠時間は、人によって違う」です。
睡眠にも個性があるのです。8時間以上の睡眠が必要な「長時間型」の人もいれば、5時間程度で十分な「短時間型」の人もいます、そして、睡眠中にあらわれる「深い眠りから浅い眠り」という睡眠リズムにも個人差があるのです。
生活習慣を見直し、自分の睡眠リズムを知リ、「昼はしつかリ行動して、夜はぐっすり眠る」ということを定着させれば、1日が充実し、免疫力もアップします。
高血圧・心臓病・脳卒中など生活習慣病のリスクが低下するだけでなく、ボケの防止にもなります。
・布団に入ったら、スムーズに、すぐに寝付きたい
・疲れが残らない、何度も目覚めない、熟睡がしたい
・夜型から、朝型の生活に直したい
・朝、スッキリ目覚めたい
・月曜日から、最高の状態で1週間をすごしたい
などの悩みを持った方のためにお役に立てれば幸いです。
睡眠と体温の関係
眠り始めた幼児の手は、ポカポカと温かくなります。実は、この現象はぐっすり眠るための大切なヒントになります。
体温は、睡眠と深く関係していて、眠気は体温が下がると強くなります。
また、眠っている間に体を充分休ませるためには、体内の温度(深部体温)が下がることが重要になります。
日中の体内では、ブドウ糖などを燃料にして、エネルギーとなる熱が生み出され、人の活動を支えています。
しかし、夜になっても体の奥には日中に生み出した熱が残っており、体の休息、睡眠の邪魔になります。
そこで、人の体は、就寝する1時間くらい前から、手足に流れる血液の量が増え始め、手足の温度が上昇する仕組みになっています。熱を血液に乗せて手足(体の末端)に運び、体外に捨てようとするためです。手足を自動車のラジエーターのように使って、体の奥を冷やすのです。
熱が下がらないと、効率のよい休息は得られません。
特に冷やさなければならないのが脳です。睡眠は、起きている間に活発に働いてオーバーヒート寸前になっている脳を、クールダウンさせることが大きな目的になります。
脳の熱が手足を通してどんどん外へ出ていくと、深部体温も下がっていきます。深部体温が下がれば、自然に人は眠くなるのです。
効果的に深部体温を下げる方法は、「ぬるめ」のお風呂に入ることです。
どうして体温を下げるためなのにお風呂に入るのか?逆効果では?体温を逃がすための手足を温めたら、体の熱は逃げられないのではないかと思うかもしれません。
しかし、血液の流れがよくならなければ、体の中心から熱は外へ出ていけないのです。温かいお風呂に入って血行をよくすることで、結果的によい睡眠がとれるようになるということなのです。
快適な睡眠のためのお風呂タイム
お風呂に入る時間は、手足が温まってくる程度で、深部体温があまり下がらないくらいが理想です。
血液の流れがよくなり、深部体温が逃げやすくなる、ちょうどよい時間は20分間くらいです。
お風呂に入ると、最初のうちは深部体温が少し上がりますが、徐々に血流がよくなり、熱が体表面に移っていきます。お風呂から出ると、深部体温が下がり始めますが、その下がり方は急激で、この深部体温が急に下がることで眠気が促進されて寝付きがよくなります。
ところが、20分間を超える長風呂になると、今度は深部体温が下がりすぎてしまいます。
また、41℃を超える熱いお風呂もよくありません。
体内の動きをコントロールしている神経には、交感神経と副交感神経という二つの系統があります。
交感神経は体の動きを活発化させますが、副交感神経は動きを鎮め、リラックスさせるものです。体を休ませたり眠らせたりするのが副交感神経の働きになります。
熱いお風呂に入ると、交感神経を剌激してしまうので、体を目覚めさせてしまいます。理想的なお湯の温度は38℃~40℃です。
冷え性とは、血行が悪く、体内の熱を手足に運べない体質のことです。冷え性の人は、熱が体内にこもり、寝つきが悪くなります。そういう人にも、高い効果を発揮するのが、この入浴法です。
お風呂に入る時間がないという方には、もっと簡単に同じ効果が得られる方法があります。
それは、「足湯」です。
38℃~40℃のお湯に20分間両足を浸けておくことで、快適な睡眠をとることができます。
ぬるめのお風呂に入ることで寝付きはよくなりますが、その効果を最大限に生かすためには、入るタイミングも重要です。
会社から帰宅すると、すぐにお風呂に入ってしまう人がいますが、いつも寝つく時刻の3~4時間前は、1日の中で体温が最も高まるので、体はとても活動的になっています。
つまり、この時間にお風呂入っても、快眠に必要な充分な熱の放出はできないということです。
当然、深部体温も高く、「寝たいのに寝れない」ため、「睡眠禁止帯」と言われています。
また、就寝直前にお風呂に入れば、体がほてってしまうので、寝つけなくなる原因にもなります。
このようなことを踏まえると、就寝1時間前が「快適な睡眠のためのお風呂タイム」となります。この時間にお風呂に入ることを心がけましょう。
睡眠ホルモンを活性化する飲み物・食べ物
欧米では、眠れないときにホットミルクを飲む習慣があります。
牛乳に含まれているアミノ酸の一種である、トリプトファンは睡眠に大きく関わっています。
トリプトファンは生きていく上で不可欠なものですが、体内でつくることができないので、食べ物や飲み物から摂らなければなりません。
トリプトファンを原料として作られるのが、睡眠ホルモンである「メラトニン」です。
一般的に、就寝のおよそ1~2時間前に脳から分泌が始まり、自然な眠りをうながしてくれます。
牛乳を飲むことで、メラトニンの原料を補給できるのです。
もう一つ、豊富に含まれるカルシウムには精神を安定させる作用があります。
快適な睡眠に入るための「絶対条件」は、刺激を避け、リラックスした状態にあることです。その意味で、牛乳は、いい仕事をしてくれているのです。
温かい牛乳が胃に入ると、一時的に深部体温が少し上がりますが、体はその熱を手足に逃がし、深部体温は飲む前より下がり、眠気を誘います。つまり、「ぬるめのお風呂」に入ったのと同じ効果が期待できるということです。
早く寝るための就寝前1時間のキーワードは、「刺激を避け、リラックスすること」です。
おすすめの飲み物はホットミルク以外にもあります。
これらの共通点は、カフェインが入っていないか、カフェインが少ない飲み物です。
カフェインは、脳を興奮させる「刺激物質」であり、目を覚まさせる働きを持っています、
その作用は、若い人で2~3時間、高齢者になると5時間以上と言われているので、カフェインがたくさん入った飲み物を寝る前に飲むのは避けましょう。
コーヒー、紅茶、緑茶はカフェインが入っている代表的な飲料として知られていますが、チョコレートやココア、コーラや栄養ドリンクの一部にも含まれているので注意。
ホットミルクと並んでおすすめなのは、ハーブティーです。ハーブの種類はいくつもあり、有効成分も少しずつ違います。
リラックスしたいときはパッションフラワー、疲労が激しいときや生理不順のときはラベンダー、気持ちが不安定なときはオレンジブロッサムやバレリアンを飲みましょう。
カモミールティーもおすすめです。
心をリラックスさせるだけでなく、体のコリや炎症を鎮める効果もあるので、体自体の緊張もほぐすことができます。
ハーブティーは飲むだけでなく、その香りがリラックス効果をもたらしてくれるので、その意味でも寝る前の1杯におすすめなのです。
緑茶にはカフェインが多く含まれているため、寝る前に緑茶を飲むと眠れなくなるという人もいます。
ところが、最近の研究で、緑茶の中に「快眠」のカギがひそんでいることがわかったのです。
それは緑茶のうまみ成分の一つである、「テアニン」。
ある実験で、水だけを飲んだ人に比べ、緑茶を飲んだ人は、寝付きと寝起きがよくなることがわかりました。
途中で目を覚ますこともなく、明らかに睡眠の質が向上するということがわかったのです。
これは、体の緊張をほぐす作用によるものです 就寝前の1時間前後に飲むのが効果的です。
ただし、緑茶を飲むと、覚醒作用のカフェインも一緒に摂ってしまうことになるので、注意が必要です。
最近では、テアニンだけを抽出したサプリメントも手軽に買うことができます。
寝つきが悪いことで深刻に悩んでいる方は、テアニンのサプリメントを試してみてはいかがでしょう。
ここまで快適な睡眠のための飲み物を紹介してきましたが、食べ物にもおすすめがあります。
睡眠ホルモンのメラトニンは、たとえば、牛乳やチーズをはじめ、肉類、魚類、豆類などに多く含まれているアミノ酸(トリプトファン)を材料にして、体内でつくられます。
メラトニン自体を含んでいる代表的な食べ物には、ケールとアメリカンチェリーがあります。
ケールは、アブラナ科の野菜で、キャベツやブロッコリーの原種です。健康食品としてよく飲まれている「青汁」の主原料としてもよく使われています。
「昼間に青汁を飲んだら眠たくなってしまうのでは?」と思われる方もいるかもしれませんが、心配はいりません。
日中に摂取した場合、メラトニンは催眠ではなく、気持ちを落ち着かせる成果を発揮するからです。
また、アメリカンチェリーも睡眠をうながす食べ物です。
最近の研究で、アメリカンチェリーのジュースを飲むと眠気を誘うことがわかりました。
モンモランシー種のチェリー1グラムには13.5ナノグラムのメラトニンが含まれています。
加齢による不眠の原因の一つは、メラトニンの分泌量が年齢とともに低下することです。
乳製品やケールの青汁、アメリカンチェリーなどから直接メラトニンをとれば、個人差はありますが、快適な睡眠を得やすくなるでしょう。
眠りが浅いのはアルコールのせい?
「お酒を飲まないと寝付きが悪い」という人もいます。確かに、アルコールを飲むと眠気に誘われることは事実です。
アルコールには少量だとリラックス効果があるので、晩酌として適量を飲むのは構いません。
寝る3時間前なら、お銚子1本、ビールなら大瓶1本、ワインならグラス約2杯程度の量であれば、アルコールをとることは、寝付きがよくなる場合もあります。
しかし、これはあくまで晩酌程度のことで、寝酒を飲むのはよくありません。
アルコールを飲んで寝るというのは、脳内の睡眠機能が働いて眠るのではなく、脳全体に麻酔をかけるようなものです。
歯を抜いた後、麻酔が切れれば口の中が痛くなるように、アルコールが抜ければ浅い眠りになり、睡眠の質が悪くなります。
しかも、人はアルコールに耐性を持っているので、飲み続けるうちに、体が慣れて酔わなくなってしまうのです。
酔っている時間が短くなる=睡眠状態も短くなるため、酔いを長くするためにどんどんお酒の量が増えていきます。眠るために飲むと、アルコールの量が増えてしまいがちなのです。アルコール依存症になる危険性も高まるので、おすすめできません。
また、夜、寝ているときは、尿をつくらないようにするホルモンが働きます。抗利尿ホルモンと言います。
そのため、日中の4分の1くらいしか尿がつくられなくなるので、通常ですと就寝中にトイレに起きることはあまりありません。
ところが、アルコールはその働きをブロックしてしまいます。ビールを飲むとトイレに行きたくなりますが、これは大量に水分をとることに加えて、アルコールによって抗利尿ホルモンの働きがなくなるためです。
たくさんお酒を飲むと、眠りが浅いうえに、尿意で日が覚めてしまうわけです。
日中2~3時間に1回程度トイレに行く人であれば、就寝中の8~12時間は目覚めないのですが、お酒を飲むと日中と同じように2~3時間おきに1回はトイレのために日が覚めてしまう計算になります。
いびきもかきやすくなります。アルコールが舌の筋肉を麻痺させてしまうため、舌がのどに落ち込みやすくなるからです。
また、粘膜が腫れて鼻の穴を塞いでしまうこともあり、鼻からのどへの空気の通り道が狭くなってしまいます。
いびきをかいているときは、酸素が充分にとり込めない状態なので、熟睡できず、翌朝起きても疲れがとれていません。これも、睡眠の質を悪くする原因となります。
また、体内でアルコールが充分に分解されないと、毒性のあるアセトアルデヒドが残り、二日酔いのもととなります。体にアセトアルデヒドがたまってくると、辛くて寝ていられなくなります。
アルコールを飲んで眠るというのは、自然の眠りとは言えません。そこをきちんと理解してアルコールとつき合っていきましょう。
カフェイン以上に眠れなくするもの
寝る前にカフェインを多く含む飲み物は避けた方がいいのですが、それ以上に覚醒作用があるのが、タバコです。
タバコに含まれるニコチンには、二つの効果があります。気持ちを落ち着かせてリラックスさせる効果と、刺激によって目を覚ます効果です。
そして、どちらかというと目を覚ます効果の方が強くなります。
そのため、喫煙者は、タバコを吸わない人よりも睡眠時間が短く、睡眠の質が悪い傾向にあります。
喫煙者は吸わない人よりも寝つくまでの時間が5分長くかかり、睡眠時間が14分短いという研究結果も出ています。
また、喫煙者は眠が浅いと言われています。喫煙者は眠りが浅い時間が24%も多く、深い眠りの時間は14%も減っているという結果も。
タバコを吸う人は、寝ている間に呼吸が一時的に止まる「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」にかかる確率が、吸わない人より2.5倍も高まるというデータもあります。
タバコを吸う人は、せめて寝る1時間前には喫煙をしないように心がけてください。
疲れを残さない快適な睡眠を実現するには、お酒はほどほど、禁煙がベストです。
寝る前のスマホは「エスプレッソ2杯分」
「寝る前にスマホを見ると、眠れなくなる」とよく言われますが…
実はこの「寝る前にスマホを見ると、眠れなくなる」は、イギリスの研究結果で証明されているのです。
寝る前にスマホやパソコンでメールの確認などをすることは、誰でもやっていることだと思います。
1日の締めくくりとして習慣にしている人も多いでしょう。
ところが、これが「眠ろうとする脳」には、とても悪い習慣であり、快適な睡眠を妨げてしまうのです。
眠る前に、脳の中では、睡眠ホルモンであるメラトニンがつくられ、眠気を増していきます。
しかし、スマホなどで、メールの有無を確認するだけで、それが中断されてしまうのです。
原因は画面の光です。いわゆる「ブルーライト」と呼ばれている光です。このブルーライトが脳を刺激し、メラトニンの分泌をストップさせ寝つきを悪くするのです。
スマホだけではなくテレビやパソコンの画面からもブルーライトが出ています。
また、メールの中身も問題です。
睡眠を妨げる大きな原因はストレスです。仕事関係のメールを見ただけで、「エスプレッソーコーヒーを2杯飲んだ時と同じくらいの興奮状態になる」言われています。
寝る前のスマホゲームもやめておきましょう。
寝る前1時間は脳に刺激を与えることを極力避け、メールは見ないか、返事を翌日にするように心がけてください。
眠れないストレス
早起きしなければならないと過度に意識しすぎたり、翌日の予定をいろいろ考えているうちに眠れなくなることは、誰にでもあります。気持ちが高ぶってしまい、眠れなくなってしまうのです。
これは緊張状態、又はストレス状態と言われています。
そういうときに、無理して眠ろうとすれば、眠らなければならないという気持ちが眠れないストレスになり、眠れなくなります。
「翌日の予定を考えると、気持ちが落ち着かなくなる、不安になる」のは不眠の原因になります。
このようなことが原因での不眠の対策としては、眠る前に朝の準備をすませておくというのが効果的です。
・使った食器をきれいに洗う
・翌日の予定をメモしてテーブルの上に置いておく
・翌日の身支度をそろえておく
このようなことをしておくだけで、就寝時の安心感が高まります。
朝やろう、と思っていても、寝坊して慌てたり、面倒くさくなるということはよくあることです。
「朝起きられるかな、間に合うかな、ちゃんと起きて片付けられるかな」と不安になるくらいなら、朝しなければならないことを就寝前に頑張って終わらせておきましょう。
特に、「翌日の予定をメモしてテーブルに置いておく」というのは非常に効果があります。
重要なな会議や商談が控えているときなどは寝付けなくなるものですが、事前に対策などをメモに書いてテーブルに置くことで、それらにまつわるストレスも解消することができます。
「明日のことは、このメモを見たときに考えよう」と思うことで、気持ちがかなり楽になります。
心が充分にリラックスして、翌日の準備もできていれば、寝床に入ったときのストレスは確実に減っています。寝床に持ち込む悩みが減る分、寝付くまでの時問も短くなるのです。